近大図書館司書

近畿大学通信過程にて司書を目指しています。

情報資源組織論 終末試験 問題と回答例

2022.5.29の情報資源組織論の問題と回答例です。

 

【問題】

FRBRモデルにおける「第一グループ」の4実態について、著作と個別資料の違いについて述べなさい。

 

※回答例のコピーは大学により禁止されています。参考程度に活用ください。

【回答例】

 NCR2018版が依拠する概念モデルとして、書誌レコードの機能要件(以下FRBR)は構成の基盤となっているものである。FRBRの「実体関連分析」によってモデル化が行われている。その世界(ここでは書誌情報の世界を指す)で重要と思われる情報を「実体」として設定し、分析している。実体には三種のグループがある。その中で「知的成果物を表す実体」である第一グループの4実体について考えていく。

 第一グループの「実体」には抽象度の高いものから「著作」、「表現形」、「体現形」、「個別資料」の4実態に分かれる。

 まず「著作」は、知的・芸術内容を表す実体である。例えば、JKローリングの「ハリーポッター」などである。「表現形」には文字による表記や記譜、運動譜、音声、画像などやそれらからなる著作の知的・芸術的実現を表す実体である。「ハリー・ポッター」であれば日本語訳や映像化などが挙げられる。「体現形」には著作の表現形を物理的に具体化した実体をさす。著作「ハリーポッター」では朗読CDや文庫本、単行本などである。「個別資料」は、体現形の単一の例示を表す実体を指す。図書館などに所蔵された個別の一点一点の資料が、個別資料になる。

 次に、「著作」と「個別資料」の違いについて述べていく。

 著作も個別資料も同じ第一グループ内にあるという意味では同様のことを指しているが、第一グループの中で著作から見て個別資料は最も具体化された実体であり、著作が最も具体化されたものが個別資料であるとなるため、ここに両者の違いが見られる。

 

【参考図書】