近大図書館司書

近畿大学通信過程にて司書を目指しています。

図書・図書館史 科目修得試験 回答例

2022.5.29に受けた試験の問題と回答例です。

【問題】

・『中小都市における公共図書館の運営』が刊行された背景とその後の公共図書館の発展について述べてください。

 

※回答例のコピーは大学により禁止されています。参考程度にお使いください。

【回答例】

 『中小都市における公共図書館の運営』が刊行された背景とその後の公共図書館の発展について述べていく。

 

 戦後、アメリカを主導として民主化政策は進められた。しかし、実際は図書館は受験生の勉強部屋と部屋と化していた。その図書館の貧しさを憂いた一部の図書館員らで日本図書館協会中小公共図書館運営基準委員会を立ち上げ、全国71館の実態調査をし、その結果を『中小都市における公共図書館の運営』を提起した。内容は、日本の図書館は、市民にサービスをしてこなかった、市民と共に歩んでこなかなったなどの反省をするとともに、図書館の役割は民主主義の基礎を成す知的自由の保障にあるという認識に至った。具体的な重点目標は以下となる。

1図書を気軽に館外貸出をする。

2徹底して児童サービスをする。

3図書館を身近に置くために、全域でのサービス網をはりめぐらせる。

 

 「買い物かごを下げて図書館へ」という市民感覚の、市民生活に溶け込んだ図書館づくりが始まり、全国各地に新しい図書館や分館が生まれ、家庭文庫、地域文庫、こども文庫などが育成されはじめた。日本図書館協会は、『市民の図書館』を刊行し、市立図書館の発展に重要な指針をもたらした。館外貸出を伸ばすための読書案内、予約サービスなども提唱し、実践の手引書であった。図書館の貸出サービスは「中小レポート」の成果によって、現在では当たり前となっている。

 

 1954年に「図書館に関する宣言」が採択された。そこでは

1資料収集の自由

2資料提供の自由

3利用者の秘密の厳守

4検閲に反対を確認し、これらの図書館の自由が侵害されるときは団結して、自由を守ることをうたっている。

 また、1980年には「図書館員の倫理網領」が決議され、図書館員の基本的態度として「利用者を差別しない」「利用者の秘密を漏らさない」などの12項目を図書館員の自立規範としている。

 2007年には「公共図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を告示し、電子メールの活用、レファレンスサービスの充実高度化、レフェラルサービスなどにも触れ、情報サービスの援助を挙げている。

 

 最後に、「中小レポート」によって図書館サービスは向上していった。今後は、昨今のインターネットの発展によって図書館サービスに新しい視点も求められている。

 

【参考図書】